―『生きる誇りへの、挑戦』大賞 2025 ― vol.2 ~還暦を迎え夢への挑戦~
2025年1月に開催された仕事始め式。
その企画として、「生きる誇りへの、挑戦」大賞の発表・表彰が行われました。
法人のミッション「生きる誇りへの、挑戦」の実現に向けて、昨年1年間の中で職員がチャレンジしたことをプレゼン。中でも優れた5つの取り組みがノミネートされ、表彰されるイベントです。
今回はノミネート者から、「HOME東いさはや」松本さんにお話を伺いました。

―HOME東いさはや―
社会福祉法人 南高愛隣会が諫早地区に置く拠点「LOCAL STASION FLAT」に所属するグループホーム。
――今回はどういった取り組みで応募したのですか?
「還暦を迎え夢への挑戦」というテーマで応募しました。
私が担当するホームの利用者さんが、令和6年7月に還暦を迎えました。その利用者さんはずっと前から、「還暦を迎えたらお祝いに、行ったことのない場所に、乗ったことのない飛行機で一泊旅行に行ってみたい」とお話しされていた方だったので、ぜひその夢を叶えたいと思ったんです。そこで、本人さんが日中利用されている事業所と協力して、USJへの一泊旅行を実現するために動き出しました。
予算や旅程などを旅行代理店さんと話し合ったり、当日付き添ってくださる日中介護事業所の職員さんと何度も何度も打ち合わせをしたり、多くの方と協力して予定を固めていきました。そうして当日無事に出発され、支援員を通じて旅行先から楽しそうな様子が伝わってくると、本当にうれしい気持ちになりました。

次の日帰ホームされた本人さんは満足そうな様子で、一言「楽しかった」と言われました。普段は言葉少なで、想いを伝える機会の少ない方でしたから、本当に楽しかったんだなあとわかって涙が出そうになったのを覚えています。
この一泊旅行以来、本人さんも自信がついた様子で、これまでは拒否されていた活動にも「やってみようかな」と挑戦されることが増えました。事業所の垣根を越えて力を合わせることで、利用者さんの大きな夢も叶えられるのだなと実感しました。
――挑戦する中で、工夫したことはありますか?
旅行の計画は立ったのですが、それを現実にするにあたって利用者さん本人の特性が課題になりました。こだわりが強く、たった今言ったことが次の瞬間コロッと変わったりして……。飛行機に乗るのは初めてのことだったので、当日万が一パニックにならないよう、事前に空港に見学に行ってみたりもしました。移動にかかる距離だったり、時間だったりというのは実際に行ってみないと掴めない部分もあるので、まず動いてみるというのは大切だと思いました。
また、本人さんは天気にこだわりが強い方で。天気が悪いと活動を拒否されたり、外出をやめてしまったりされるんです。もし当日雨が降ったらと思うと心配で、何度も天気予報をチェックしました。当日は見事な晴天で、ピースサインをしながら出発された利用者さんの姿を見て、胸がいっぱいになりました。

――松本さんから見て、「南高愛隣会」ってどんな法人だと思いますか?
一言で言うなら、「最高の職場」ですね。
私は今嘱託職員として時短で勤務していますが、高齢になってもこうして仕事ができている、というだけで嬉しいものです。そのうえ福利厚生も整備されていますし、ただ働くのではなくてむりなくゆとりをもてるところも、安心できる要素です。
はじめは障がいのある方と関わった経験もなく、少し不安に思うこともありました。ですが、なにもかもつきっきりで介護するのではなくて、自分でできることは自分で頑張ろうとする利用者さんの姿に多くのことを学びました。障がいのある方とのかかわりを通して、自分自身も成長できるような、そんなお仕事です。
特に私自身誰かと関わることが好きなので、世話人は天職だと思っていますよ。
子育てやいろいろなことがひと段落ついて、老後の自由な時間でなにか仕事がしたいな、と思う方には、ぜひおすすめしたいなと思います。
――これからまた挑戦したいことってありますか?
今私が担当するホームには、偏食の傾向が強い方が多くいらっしゃいます。中には透析治療を受けておられたりして、健康上食事に気を使わないといけない方もいるのですが、どうしてもご自分の好きなものばかり食べてしまうので健康管理が難しいという課題があります。その課題を解決するために、医務職員とタッグを組んで少しづつ動き始めているところになります。私の意見は聞いてくれない方でも、栄養士さんから言われると納得してくださる利用者さんもいたりして。まだまだ課題は尽きませんが、これから頑張りたいところです。
――南高愛隣会に興味をもってくれた学生さんに一言、メッセージをお願いします。
南高愛隣会には、若くてフレッシュな職員さんもたくさんいらっしゃいます。そういった方と関わる機会を貰えていることも、本当にうれしく思っています。日々若さがもつエネルギーというか、新しい学びをもらえています。きっと、私と同じ気持ちの職員さんもたくさんいらっしゃいますよ。
これから南高愛隣会に関わっていくみなさんのことも、心から歓迎しています。新しい世界に飛び込むのは不安かもしれませんが、ぜひ挑戦してみてください。みなさんと一緒に働ける日を楽しみにしています。
松本さん。ありがとうございました。
なにもかもが初めてのことばかりの中、多くの人とつながって大きな夢を叶える。そんな一大プロジェクトの中心で、心から利用者さんのことを想い、夢に寄り添った松本さんのやさしさに感動するエピソードでした。
次回は「HOME西いさはや ~障がいがあっても当たり前の幸せを実現する~」を特集します。お楽しみに!