私たちの話2025 / 04 / 07

―『生きる誇りへの、挑戦』大賞 2025 ― vol.3             ~障がいがあっても当たり前の幸せを実現する~

2025年1月に開催された仕事始め式。

その企画として、「生きる誇りへの、挑戦」大賞の発表・表彰が行われました。

法人のミッション「生きる誇りへの、挑戦」の実現に向けて、昨年1年間の中で職員がチャレンジしたことをプレゼン。中でも優れた5つの取り組みがノミネートされ、表彰されるイベントです。

今回はノミネート者から、「HOME西いさはや」寺側さん、村瀬さんにお話を伺いました。

―HOME西いさはや―

社会福祉法人 南高愛隣会が諫早地区に置く拠点「LOCAL STASION FLAT」に所属するグループホーム。

――今回はどういった取り組みで応募したのですか?

 「障がいがあっても当たり前の幸せを実現する」というテーマで応募しました。

南高愛隣会の自主事業のひとつに、「結婚推進室ぶ~け」というものがあります。ぶ~けでは、利用者の「恋愛したい!」「結婚したい!」「家庭をもって暮らしたい!」という願いをかなえるために、障がいのある方の出会いの機会を支えたり、地域で愛する人と暮らすためのマナーを勉強したりといった支援を行っています。今回は、そんなぶ~けに所属する村瀬さんとHOME西いさはやで働く寺側さんの二人で協力して、ある利用者さんたちの披露宴を実現しました。

披露宴を開催する計画そのものは数年前からあったのですが、コロナ禍の直撃により、披露宴の開催が延びていました。コロナも落ち着ついてきた2024年、本人さんたちの「披露宴を挙げたい」という気持ちがそのままだったことを受けて、実現に動き出しました。

披露宴の準備はなるべく本人さんたちが自分で進める、という事を大事にして、私たち職員は裏方に徹しました。例えば、結婚指輪を選びに行く際には、宝石店に事前にお伺いしてある程度の予算をお伝えし、当日宝石店さんに予算の範囲内の指輪を提案してもらいながら本人さんたちが選ぶ等です。披露宴と並行して引越しも計画していたため、引っ越しの準備も進めたりと、結構ばたばたしていたような気がします。

そうして準備した披露宴はとてもにぎやかで、瑞宝太鼓のパフォーマンスや、ぶ~け会員からのビデオメッセージなど、さまざまなプログラムで華やかな、幸せいっぱいの式になりました。

――挑戦する中で、感じたことはありますか?

 取り組みの間は新たな発見の連続だったように思います。

 パートナー生活をしている利用者さんの多くは、身の回りの事は自分でできる事も多く、基本的には生活における日課などは本人さん達主導で行っています。そのため、生活における手厚い支援は行っていませんでした。夫婦二人の生活だから、支援を行いすぎてもいけないというのもありますし、お二人は協力し合いながらある程度自立した生活ができているようにも見えていたので、口頭での助言が多かったように思います。今回披露宴に向けてお二人と向き合う機会が増える中で、「あ、ここに支援が必要なんだ」と気づく場面が多かったと感じています。靴のサイズを間違えたり、身だしなみ等TPOを意識した準備ができていなかったりと、表面的な支援では、気づかない困りごともあるな、とわかりました。

 支援者も試行錯誤している中、本人さんたちはとっても頑張っていて、結果親族の皆さんにも温かく見守られる中で、とても素敵な披露宴をあげることができました。このプロジェクトに関われたことが本当に楽しかったです。関わり方が変わると、見えるものも違うんだなと深く感じました。

――これからまた挑戦したいことってありますか?

 また、こうして誰かの結婚披露宴に関われたら素晴らしいだろうなと思います。そもそも、ぶ~けを通じて交際される方のなかでも結婚まで進まれるペアは決して多くはありません。それでも、利用者が希望する幸せの形を実現することができるよう、ぶ~けの活動をさらに活発化することで、利用者の皆さんの幸せ作りのサポートをしていきたいと思います。

――南高愛隣会に興味をもってくれた学生さんに一言、メッセージをお願いします。

 これから南高愛隣会に入る皆さんには、ぜひ多くのことに、自分から進んで関わってほしいと思います。ぶ~けの活動にも、興味を持って積極的に関わってくれる方は大歓迎です。今回の取り組みも私たち2人だけでは実現不可能で、準備の間シフト調整を頑張ってくれた職員の方や、式場やお店といった関係機関の皆さんなど、多くの方の関わりによってかなったものです。挑戦であふれる南高愛隣会だからこそ、新しくやってくる学生の皆さんにもぜひ前向きに関わってほしいと思います。

寺側さん、村瀬さん。ありがとうございました。

利用者さんの結婚披露宴を通じて幸せの輪が広がっていく、「ぶ~け」という取り組みの面白さ、奥深さが溢れたエピソードでした。