私たちの話2022 / 11 / 10

★伊豆丸さんとの意見交換会★

11/4(金)、長崎県地域生活定着支援センターの元職員で、現在は厚生労働省社会・援護局の矯正施設退所者地域支援対策官として働く伊豆丸剛史さんと、南高愛隣会の若手職員との意見交換会が開催されました。

元職員と言っても、民間初の支援対策官として国の機関に派遣された伊豆丸さんは若手職員にとっては遠い存在です。少し緊張気味で集まった職員は、相談支援員、グループホームの生活支援員、作業療法士など様々です。

中には学生時代に伊豆丸さんの講演を聞いて感銘を受け、新潟県から入職した職員も。

そんな中、「(周りの同級生と比べて)周回遅れの人生だった」と伊豆丸さんは語ります。

大学卒業後、アーティストを目指しつつも、生活に困窮し、飛行場でのアルバイトにいそしむ日々。

飛んでいく飛行機を横目に「今頃、(同級生は)出張であの飛行機に乗っているのかな」と感じていました。

しかしその後、ヒッチハイクを通して様々な人と出会い、無認可の障がい者就労支援事業所で、収穫のお手伝いを始めます。

大根を収穫した少女の嬉しそうな顔を見て、「ああ、これ、いいな」と感じました。

そこから障がい福祉支援に興味を持ち、南高愛隣会の理事長のブログを読み、触法障がい支援に携わりたいと、南高愛隣会の門戸を叩きました。

非正規の採用でもいいか、と聞かれると「どうしても事業(触法障がい支援)に携わらせてほしい」と、熱い気持ちを伝えました。

周回遅れの人生を歩んでいた伊豆丸さん。罪に問われた障がい者・高齢者と接するうちに、かつての自分とチャンネルが合う、と強く感じています。

「その経験が、今すごく活きている」。

 

そんな伊豆丸さんにとって一番大切にしている言葉は、「身を切って実を得る」。

ある忘れられないエピソードがあります。

一旦刑務所から出所した障がい者、高齢者の住まいを探すため、不動産屋さんと連絡を取っていた時のこと。

出所したと言っても再び再犯を犯してしまうことも少なくないため、それを承知で部屋を貸してくれる不動産屋を探していました。

「(そんな大切なことを)電話一本で済ませていいのか。本来ならば直接顔を出すのが筋ではないか。」

ある不動産屋からこう言われ、頭をガーンと一発殴られたような心地がし、電話を切ったとたん、飛び出して向かいました。

協力を頼むときは、まず自分から折れて、相手に頼むこと。そうやってチャンスを引き寄せ、良い結果をつかみます。

県内外の様々な機関と連携することが多い定着支援センターならではのエピソードで、その精神はきっと今にも引き継がれています。

私たちにとって最初は遠く感じていた伊豆丸さんでしたが、寄り道のある人生にちょっとだけ親近感を感じ、職員からたくさんの質問が出ました。

例えば、作業療法士として障がいのある子の支援をしている職員。将来大人になってから少しでも困らないよう、子どものうちにできることはないか日々模索しています。「(彼らにとって自分は)どんな存在になったらいいのでしょうか。」

「好かれることです」。

どんな支援者になりたいか、どんな存在になりたいかよりもまず、その子に好かれること。その子が将来、いろいろな失敗をしたり、壁にぶつかることは避けられないから、だからこそ今、良い思い出をたくさん作り、「ああ、あのとき、大好きな○○さんがいたな~」と思い出してもらえるようにしたらいい。

 

一方、ホースセラピー研究センターの職員は将来、馬と人が自由に触れ合えるカフェのような空間を作りたい、と夢を語ります。

持ち前の熱い行動力と、努力を惜しまない伊豆丸さんのひた向きな姿勢に背中を押され、たっぷりとエネルギーチャージした2時間でした。

最後に職員それぞれのビジョンを発表し、伊豆丸さんの名刺をいただき、意見交換会は終了。

ここで語り合った「つながり」はきっと私たちの大きな財産です。

大切にしたいと思います!

ありがとうございました。