私たちの話2022 / 07 / 12

研修日記 障がい児支援(PARKすくすく)・生活介護(TERRACEひだまり)

~楽しみながら訓練~

6月14日、PARKすくすく研修。

PARKすくすくは、雲仙・愛野地区の拠点「LOCAL STATION CROSS(ローカルステーションクロス)」内の、児童発達支援と、放課後等デイサービスの事業所。

部屋全体が木で作られていて、入ってみると、広々としたぬくもりのある空間になっている。壁には棚がついていて、中にはおままごとの道具、絵本、クレヨン、画用紙、磁石のおもちゃなどがたくさん入っている。

午前(10時~11時)の時間は児童発達支援。未就学児(保育園の年長さん3人)が利用する。小学校に入る練習をすることが目的。

職員がピッピッと笛を吹くと、一列に並び、机といすのある小さな部屋に入る。

正面のホワイトボードに書いてあったのは、今からのスケジュール。

あさのかい
つくえでおべんきょう
うんどうあそび
おやつ
えほん
かえります

今日の「つくえでおべんきょう」は、フィンガーペイントと呼ばれる活動。職員が4色の絵具をつけた紙を入れたジップロックを一人に一つずつ配る。

そして、「今から魔法の水をいれます」と言って洗濯洗剤をジップロックに入れる。「魔法の水」と聞いた利用者さんはとっても嬉しそう。

絵具を指で押さえて延ばしたり、割り箸を使って自分の名前を書いたりする。

洗濯洗剤を入れると、三色の絵具が混ざって、どんな色になるのか、その感覚や認知を楽しむことができる。同時に指の動きをよくしたり、どのくらいまでの強さで押したらビニールがやぶけないか、指先の力加減を学ぶ訓練でもある。

次に「うんどうあそび」では、床に並べられたマット、バランスボール、平均台、草スキー、で今から順番に遊んでいく。

マットの前に、3人とも椅子に座り、待っていると、職員が「だれがいちばんかっこいいかなー」と呼びかける。

きちんとした姿勢で座っていた利用者さんから先に遊ぶことになっている。

先に呼ばれた利用者さんがマットで前回り、次に職員に抱っこされて、バランスボールの上で10回ジャンプ、その後、平均台の上を立って歩き、最後に、私が草スキーに乗せてみんなの方まで運ぶ。

一通り終わると、職員が「もう一回やりたい人~?」と聞く。利用者さんたちもこの遊びがとても楽しいらしく、みんな2回ずつやっていた。遊びが終わると、マッサージの時間。

手で〇を作ってジャンプしたり、波のポーズをとってゆらゆらしたり、お互いの肩をトントン、とたたく。

この肩たたきも強弱をつける練習。

このように楽しみながら訓練すること(療育)に力を入れている。

 

午後は、放課後等デイサービス。放課後等デイサービスは、家に帰るまでの放課後の時間をゆっくり過ごすことが目的。

島原特別支援学校に通う利用者さん(小学生から高校生まで6人)を迎えに行く。

すぐに靴下を脱いだり、シートベルトをとったりするため、職員は車内でも目が離せない。

道中、ある職員は、「子どもは言葉で伝えないので、(こちらが)その表情や、行動で何を言おうとしているのか汲み取らないといけない」と語る。

この仕事に就いた理由を聞くと、大学の実習で3週間、障がい児と触れ合い、とても楽しかったからだという。

例えば、朝の会があると勘違いしていた子が、本当はないということを受け入れられず、床に座り込んでしまったことがあった。その職員はその子と2人で小さな朝の会をして、その子が自分で動き出すまで待った。そのとき、無理やり動かせるのではなく、その子が納得するまで、対処の仕方を見つけていくことがおもしろい、と気づいた。

「子どもは嬉しいときは笑って、悲しいときは泣くから、素直なところがいい」。

また、あるダウン症の子が、将来、介護福祉士になりたい、と言ったことがあった。職員は、そんな子どもの夢がかなえられるように支援していきたい、と心に決めたという。

南高愛隣会の魅力は、こうした利用者さんに真摯に向き合い、寄り添う職員がいること。

 

すくすくに到着すると、今からそれぞれ20分ほど、個別課題に取り組む。

個別課題で、プットインに取り組む子がいた。プットインとは、うさぎ、ライオン、サルの口に、それぞれにんじん、肉、バナナのラベルが貼られたペットボトルのキャップを入れるもの。

口の大きさがそれぞれ異なるため、力加減に気を付けなければいけない。例えば、サルの口は一番小さいため、力を入れて押し込むように入れる。

個別課題の時間が終わると、帰りの会。

職員は、利用者さんそれぞれに、個別課題に集中して取り組んでいたことや、片付けをきちんとしていたことを伝え、ほめる。

その日、どんなにうまくいかないことがあったとしても、一日の最後に褒められると、気持ちよく、一日を終えることができるはず。

そうして明日への活力を養いながら、利用者さんは帰っていく。

 

~促して、できること引き出す~

6/15日、TERRACEひだまり研修。

TERRACEひだまりは、同じくLOCAL STATION CROSS内の生活介護の事業所。

木の壁にはいろいろな形をした折り紙や画用紙が貼られていて、ひだまりという事業所名にふさわしい、ほのぼのした暖かい雰囲気。

午前中は、入浴する利用者さんがいる。職員は、「気持ちよく、楽しく、安全に入ってもらえたら」と話す。

確かに入浴は一日の中で、リラックスできる時間。同時に、体にあざなど気になる箇所がないかチェックすることも欠かさない。

 

午後の活動は、「レクリエーション」。
毎月1回行われるこのレクリエーションは、職員が交代で企画する。

今日は、「スプーンボールわたし」、「ボール箱入れ」、「足わなげ」の3つ。
利用者さんが2チームに分かれ、それぞれ1列に椅子に座って並ぶ。

「今から何が始まるかな~!」
職員が手拍子をすると、一気に楽しいムードになる。
「絶対優勝するぞー」と、意気込む職員。

スプーンボールわたしでは、ゴムボール、紙ボール、ピンポンなどいろいろな種類のボール(10個)をスプーンで次々と隣の利用者さんに渡し、どちらのチームが速く渡し終わるか競争する。
ボールが最後の1人まで行き渡ると、
「はい!来ました」と職員がタンバリンや、ラッパを鳴らす。

スプーンボールわたしをする利用者さんたち

落ちないように、次の人に確実に渡さないといけないところが難しい。
手で握って渡そうとする利用者さんがいると、職員はすかさず「◯◯さん、だめですよ、スプーンでしましょう」と声をかける。

勝負事において、障がいのある人は、なにかと大目に見られることが多いのかもしれない。
しかし、うまくできなくても、やってみようと促す。
そうやって利用者さんのできることをどんどん引き出していく。

ボール箱入れでは、利用者さんが新聞紙を丸めたボールをそれぞれ6個ずつ持ち、自分のところに箱が引かれてきたタイミングで、どれくらい入れられるか競う。
職員と一緒に箱を引くのは、歩いたり走ったりできる利用者さん。

職員や、他の利用者さんから「◯◯さん、がんばってください!」と応援する声が飛び交う。
それを聞いて、箱を引く利用者さんの顔はとても真剣。
職員がすべて行うのが支援ではない、ということに気づかされた。