私たちの話2022 / 08 / 04

研修日記 グループホーム (HOMEさいごう・HOMEたいしょう)

~信頼厚く、責任ある仕事~

6月21日、HOMEさいごう・HOMEたいしょう研修1日目。

HOMEさいごう・HOMEたいしょうは、雲仙地区の拠点「LOCAL STATION LIFE(ローカルステーションライフ)」内のグループホームの事業所。

HOMEさいごう・HOMEたいしょうという名前は、雲仙市西郷・大正の地域に、全部で19軒のグループホームが点在しているため、まとめてそう付けられている。

LIFE内(就労継続支援A型で配食サービスを行う「味彩花」の2階)に事務所があり、そこから職員(世話人と生活支援員)が各グループホームに出向く形となっている。

そもそもグループホームとは、利用者さんが住む家のこと。

しかし、施設のようなものではなく、一人暮らしや夫婦、パートナーとの暮らしを送っている。

利用者さんの年齢は、20代から84歳まで幅広い。

長崎能力開発センター(職業訓練校)を卒業して、就職した若い世代もいれば、子育て世代もいる。また、重度の、身体的な介助を必要とする方から、軽度の、身の回りのことは自分でできる方まで、障がいの程度も様々。

昼間は生活介護(TERRACEひだまりなど)を利用したり、就労継続支援A型(味彩花、コロニーエンタープライズ、瑞宝太鼓など)や就労継続支援B型(WORKうんぜん、コロニーエンタープライズなど)で勤務している方が多い。

職員の仕事は、そんな様々な世代のニーズや、障がいの程度、お仕事に応じて、利用者さんが地域の中で、いきいき楽しく暮らしていくための支援をすること。

 

午後5時半、生活支援員(専門的知識を持ち、支援計画を立てたり、各種申請の事務手続きなどを行う)と一緒に、HOMEたいしょうの「ブルーハイツ」を訪問した。

ちなもに、ブルーハイツのすぐ隣にある伏尾ホームは、重度の利用者さんがいるため、夜に職員が宿直するグループホームとなっている。そのため、ブルーハイツで何か支援が必要なことが起こると、伏尾ホームから職員が駆けつけてくれるという安心感がある。

 

ちょうど仕事を終えた利用者さんが帰宅した時間帯。

帰宅し、世話人さんと話す利用者さん

 

帰宅した順で、世話人(近所に住む方で、利用者さんの食事、金銭管理などの支援を行う)が温めて盛り付けた夕食(味彩花のディナーサービス)を食べたり、お風呂に入ったりする。

利用者さんの夕食

 

 

午後7時頃には、南高愛隣会が建てたというHOMEたいしょうの「横田住宅北・南」を訪問した。

キーンコーン、とチャイムを鳴らすと、「はーい」という世話人さんの明るい声。

ここでは、男性4人が一緒に暮らしている。

年齢も仕事も趣味もそれぞれ違う。

ちょうどリビングにいた利用者さんが、自身が育てているという畑を見せてくれた。この方、B型事業所「WORKうんぜん」でアスパラガスを栽培している。

ホームのすぐ横にある畑には、ピーマン、なす、アスパラ、ミニトマト、メロンなどいろいろな種類の野菜の苗を植えている。畑にいるのが大好きで、「休みの日も畑にいる」と笑顔を見せた。

 

次にお話をしたのは、瑞宝太鼓のメンバーである利用者さん。

生活支援員が「瑞宝太鼓のビデオを見せてあげたら」と提案。

しかし残念ながら見つからなかったので、能楽師だったというお父様のビデオを見せてくれた。

お父様の出演した過去のビデオを見せてくれる利用者さん

 

一方で、世話人さんは、部屋に飾るお花を活ける。

活ける傍ら、利用者さんと接するのがとても楽しい、と話してくれた。

どんなことをしたら利用者さんが喜んでくれるか、生活支援員と連絡を取ったり、喜んでくれたときの笑顔を見るのが一番うれしい。

例えば、利用者さんのお誕生日には、手作りの料理をふるまったり、利用者さんが野菜を収穫してくると、天ぷらにして持ってきたりすることもある。

 

今日は、二軒のグループホームを訪問したが、世話人も生活支援員も、利用者さんのこと、例えば、家族構成や、仕事のことについて本当によく知っている。

その時その場を楽しく安全に過ごすことが目的の生活介護とは異なり、利用者さんとの信頼関係が厚く、責任のある仕事でもある。

 

 

~利用者さんと地域の懸け橋に~

6月22日、HOMEさいごう・HOMEたいしょう研修2日目。

夕方6時頃、籍は入れずにパートナー生活を送る方々が住むHOMEたいしょうの米田ホームを訪れた。

曲がりくねった路地の一角。

生活支援員と一緒に「おじゃまします」と入ると、穏やかな顔をされた男性が出てきた。

釣りが趣味ということで、立派なバッグに入った釣り道具一式を見せてくれた。

そのときちょうど出てきた、味彩花で働いているという女性も、趣味のカラオケを歌ってくれることになった。

皆に手拍子をされながら歌う様子

 

ここ雲仙は、南高愛隣会の始まりの地。

趣味や好きなことに打ち込み、明るくお話する利用者さんの顔を見ていると、この地で、これからも変わらず、元気に楽しく暮らしていってほしいな、と改めて感じた。

 

この後、訪問したのがHOMEたいしょうの「大川ホーム」。

夕闇が濃くなる中、窓からオレンジ色の灯りがもれていて、なんだかほっとした気分になる。

こちらもパートナー生活を送っている。

「こんばんは」と言っておじゃますると、世話人さんと3人で談笑していて、とても幸せそう。

大正のすぐ隣町に住んでいるという世話人さん。どんなきっかけでこの仕事についたのだろうか。

「新聞の広告を見たことがきっかけです」。

子育てが終わって、何か新しい仕事をしようと探していると、特に資格がなくても働けると知り、働きながら、へルパーと、介護福祉士の資格を取った。

一日のスケジュールとしては、朝、ホームを訪れ、利用者さんの健康状態をチェックしたり、出勤の準備を手伝う。昼は、自宅に帰り、家事をすませる。また夜にホームを訪れ、食事の世話をしたり、薬を飲んだか確認したりする。

そうした時間の流れが、「主婦には働きやすいです」。

利用者さんと一緒に買い物に行ったり、料理やそうじ、たまに一緒に畑仕事をしたり、毎日が楽しい。

 

近所に住む世話人さんは、利用者さんが安心して地域で暮らすための懸け橋となる、なくてはならない存在。

例えば、利用者さんがもし、怪我をしそうな危ないところを歩いていたりすると、すぐに近所の人が教えてくれる。

 

その一方で、利用者さんは、毎月第一日曜日に、ボランティアでゴミステーションの掃除をしている。

地域への恩返しのつもり。

「けがをしないように、皆が気遣ってくれるのがうれしい」。

こうした活動で、障がいのある方への理解が深まり、地域での彼らの応援者がどんどん増えていったらいいな、と感じた。

 

 

~IT使って 効率化図る~

6月23日、HOMEさいごう・HOMEたいしょう研修3日目。

午後2時頃、HOMEたいしょうの「池田住宅北」を訪れた。周囲にあるのは、広い田んぼ。

2階建てで、1階が宿直型、2階が通い型のグループホーム。1階は、主に60や70代の高齢者で、足が不自由な方が利用する。

今から行うのは、備品の確認。ホームの風呂用品、台所用品、トイレ用品、掃除用品などの日用品の数を一つ一つ数える。いつも3週間に1回の頻度で行い、これによって来月どのくらいの数の日用品を購入するか決める。

日用品を全部出して数えていると、廊下の片隅にあった、小さな犬のロボットに目が留まった。

アイボ(ピー子ちゃん)

この犬のロボットは、アイボという商品名。

しかし、利用者さんたちは、ピンク色にちなんでピー子ちゃんと呼んでいる。

グループホームでは動物を飼えないため、職員以外に接する人があまりいない利用者さんたちにとっては、良き話し相手。

 

南高愛隣会の特徴は、ITに力を入れていること。

人間が支援することも大事だけれど、ITを取り入れることによってより効率よく、必要なところにサービスの時間を当てることができる。

例えば、アレクサに質問して今日の天気予報を聞いたり、食後の服薬確認をLINEで報告したり、利用者が帰宅する前にエアコンがつくようにしている。

また、話す人がなかなかいなかったり、一人暮らしをしている方には、「いってらっしゃい」「おかえりなさい」と言うように設定。

特に支援者なしで一人で暮らしたいという方には、積極的に取り入れている。

 

目まぐるしい時代の変化とともに、支援の在り方も姿形を変えていく。