私たちの話2022 / 08 / 04

研修日記 瑞宝太鼓

~観客に最も近い芸術集団~

6月30日、瑞宝太鼓研修1日目。

今日の研修は、瑞宝太鼓。とらいあんぐると同様に、雲仙地区の拠点「LOCAL STATION CIRCLE(ローカルステーションサークル)」内にある、就労継続支援A型の事業所。

瑞宝太鼓は全国各地や海外まで公演に行き、太鼓を演奏する。

練習場所の体育館に足を踏み入れるとまず、目に入るのは、ステージに並んだたくさんの太鼓。後ろの壁には、これまでの公演のポスターや、寄せ書き、賞状などが貼ってある。

なんとも言えない熱気のあふれた、柔らかで、強い、いろいろな空気を感じる体育館。

公演に行った小学校からの寄せ書き

瑞宝太鼓は、1987年、南高愛隣会の職業訓練事業である長崎能力開発センター(知的障がい者利用)のクラブ活動として発足した。

訓練生に太鼓を指導したり、町内のお祭りに参加したりするうちに、出演依頼が瞬く間に増えていった。そうした中で、忙しくて仕事との両立ができない、などの支障が出てきたり、もっと太鼓に向き合いたいという気持ちが大きくなっていった。そして2001年、プロの和太鼓集団としての、「瑞宝太鼓」の歩みが始まり、今に至る。

メンバーは全員で13人。

朝のそうじと、朝礼が終わって、9時から10時までは、体力づくりのためのランニング。太鼓を打つ上で、体力づくりは欠かせない。

坂を下って、上がって2周する。真夏の暑い中でも、皆休むことなく、走り続けていた。ランニングが終わると今度はストレッチ。

ストレッチをする利用者さん

11時からは、太鼓の講習会。長崎刑務所で、受刑者が太鼓の講習を受けられないかと、長崎刑務所の方が2人、視察にやってきた。

講習会の初めに演奏してくれたのは、「いぶき」という曲。お祭り調で、1番は楽しく盛り上がり、2番は勇ましい。

聞いていると、体の中心に力が湧いてくるような感覚が広がっていく。

演奏が終わると、実際に太鼓をたたく練習。

「肩幅くらい足を開いて、右利きの方は左足に重心をおいて」。

太鼓の構え方から、バチの持ち方まで教えてもらい、最後は、簡単なリズムを打つことができた。

太鼓をたたいた瞬間、振動が両手に思いきり伝わった。太鼓は、演奏するのにとても力のいる楽器。最後まで通して演奏できると、達成感がこみ上げてくる。

 

そんな瑞宝太鼓のメンバーは、「夢大使」という活動も行っている。

地域の小中学校などでの公演後に、自身の生い立ちや、家族との関わり、太鼓に出会った経緯について話すというもの。

例えば昔、いじめられていたけれど、そこで太鼓に出会い、夢中になれるものに巡り合えた喜びを語る方がいる。

小学生は真剣に聞き、中学生になると、たくさんの質問が出る。また、大人に話したときは、しんみりと聞いてくれる。

瑞宝太鼓の魅力は何より、演奏する集団としてだけではなく、太鼓を教えたり、自分の体験を赤裸々に話すという幅広い活動を行っていること。観客に最も近いパフォーマーである。

一方で、職員の仕事は、演奏のための営業をしたり、公演において、どの時間で、どのくらいの人数で、どの曲を使うか、決めたりする。

瑞宝太鼓が聞く人を感動させる音色を響かせているのは、こうした職員のサポートのおかげ。

 

帰り際、体育館の出口で、メンバー全員が唱和している言葉