研修日記 自立訓練・生活介護 (CAREER PORT リンク)
~好きなことを生きがいに~
6月1日、CAREER PORTリンク研修1日目。
CAREER PORTリンクは、諫早市アエル商店街の「Career Design Support AeR」(キャリアデザインサポートアエル)内にある生活介護と、生活訓練の事業所。
今は自宅にこもりがちだけど、何かのきっかけで自分を変えたい、希望や夢に向けて自信をつけたい、という方が対象。必ずしも就労を目的としていない。
生活介護では、地域の中で安心して過ごし、心身を整えることを目標にしている。一方、生活訓練では、最長2年間の利用で、自分らしさや生きがいを仲間と一緒に見つけることを目標としている。
リンクの利用者さんは、精神障がい、発達障がいを持っている。その日によって気分が上がったり下がったりするため、職員は、そのときどきの利用者さんの気持ちを汲み取ることを大切にしている。
生活介護の午前の活動は、調理実習。
メニューは、三色丼(卵、そぼろ、小松菜)と、味噌汁。
材料を切ったり、炒めたり、味噌を溶かしたり、利用者さんが自分でできることがほとんど。
最初は、やらない、と言っていた利用者さんも職員が、「○○さん、お肉炒めますか?」と聞くと、腕まくりをして、炒め始めた。
職員は、調理道具を出すなどの手助けのみ。
全員分の皿に盛りつけて完成した。
職員も、「おいしそうにできましたね!」とほめる。
午後になると、利用者さん同士で話したり、それぞれ好きなことに取り組む。
例えば、レジン(樹脂)を使ったアクセサリー作りに励む利用者さんがいた。
レジン作りの道具(中央がレジン)
レジン液とその柄(ビーズなど)を型に流し込み、紫外線(UV)を照射し、硬化させる。
完成したものは、ペンダントや、キーホルダーなどのアクセサリーにし、リンクの利用者さんや職員にプレゼントしたり、マルシェで販売したりするという。
利用者さんのつけているペンダントを見せてもらうと、いろいろな種類の青色が混ざっていて、とてもきれいだった。ほかにも、ネコの形をした飾りものをつけたり、金色のビーズを散りばめて星のようにしたりなど、利用者さんのセンスが光っていた。
「きれいですね」職員も周りの利用者さんも口々に感嘆の声を漏らす。
好きなことに熱中し、同時に周囲の人を喜ばせることができるのは、その人自身の生きがいにつながっていく。
~今、この瞬間を楽しむ~
6月3日 、リンク研修2日目。
今日、1日の活動テーマは「大村の無人島 寺島 へ行こう」
利用者さんが見つけてきたという寺島へ皆で行くことになった。
リンクには20代から30代にかけての若い利用者さんが多い。リンクで、一番好きな活動は何ですか、と聞くと、返ってきたのは、「野球」、「地域貢献活動(お花の世話)」、「他の利用者さんとのおしゃべり」という答え。
アウトドアを好む方も多く、今日の寺島行きを楽しみにしていたという利用者さんは、特にテンションが高い。
寺島は大村公園から徒歩約12分。以前、NHK大河ドラマのロケ地としても使われ、パワースポットとしても知られている。
先に、大村公園で昼食。
おしゃべりが大好きだという利用者さんは、「いつもは、(感染対策で)話せないけど、今日は(外だから)話せるから嬉しい」と笑顔を見せる。
コロナ禍においては、これも、遠出のメリット。
昼食後、いよいよ島に向かった。
今日の気温は30℃
照りつける太陽のもと、大村湾に沿って歩いていく。海に近づきたがる利用者さんがいると、職員が「端に寄らないで、真ん中を歩いてください」と声をかける。安全に気を付けることと、楽しむこと。この2つを両立させることが支援する側の腕の見せ所。
時々サーッと吹く海風。
利用者さんの間から「気持ちいいー」という声が上がる。
海に浮かぶ神社の鳥居を何度もくぐり、坂を上っていくと、広場に出た。
寺島と書いてある石碑で、皆で写真撮影。
その後、島を一周。
透明な海水が太陽の光でキラキラ反射している。
歩くこと2、3分。さっきの場所に戻り、あっという間に島を一周したことに気づく。
帰りの車の中では、隣に座っていた利用者さんが、「楽しかったねえ」と満足げに何度も頷いていた。
リンクの利用者さんは、普段から、気持ちの浮き沈みが激しく、調子の悪いときは、活動を休むことも多い。また、自分の気持ちを素直に表情に出さない方もいる。
職員は、活動や会話を通して、そんな「利用者さんの表情が少しでも明るくなったら、この仕事をやっていてよかったと思う」と話す。
南高愛隣会の挑戦は、利用者さんの「~したい」という願いから始まった。
いつの時代でも職員の役目は、少しでも利用者さんの希望に沿い、今、この瞬間を楽しめるように行動すること。