―『生きる誇りへの、挑戦』大賞 2025 ― vol.1 仕事として役割を担うことの素晴らしさ~利用者さんが私たちへ教えてくれたこと~
2025年1月に開催された仕事始め式。
その企画として、「生きる誇りへの、挑戦」大賞の発表・表彰が行われました。
法人のミッション「生きる誇りへの、挑戦」の実現に向けて、昨年1年間の中で職員がチャレンジしたことをプレゼン。中でも優れた5つの取り組みがノミネートされ、表彰されるイベントです。
今回はノミネート者から、「TERRACEやまびこ 松葉さん」にお話を伺いました。

―TERRACEやまびこ―
社会福祉法人 南高愛隣会が諫早地区に置く拠点「LOCAL STASION FLAT」に所属する日中生活介護事業所。主に自閉症・強度行動障害をお持ちの方が多く通所されています。
――今回はどういった取り組みで応募したのですか?
「仕事として役割を担うことの素晴らしさ~利用者さんが私たちへ教えてくれたこと~」というテーマで応募しました。
法人の就労継続支援事業所から委託を受けて、製造したお弁当の配達活動を行っていた利用者の方がいました。ですが、3年前新型コロナウイルスが流行し、職員の体制上の問題もあって配達活動ができなくなっていました。
最近ではコロナも落ち着いてきて、利用者本人の「配達に行きたい」という強い気持ちをもう一度叶えるために、1年前ごろから取り組みを再開しました。
具体的に取り組んだこととしては、職員体制の確保のための話し合いや、配達日時を利用者さんにわかりやすく説明する工夫、お弁当製造の事業所への相談などです。

取り組みを再開してから、利用者さんはお弁当配達をとっても楽しみにしておられます。スケジュール表の「配達」の項目を指さしてアピールしたり、「配達に行きたい」と配達の絵カードを持ってこられたり……、ご家族にも嬉しそうに報告しているそうで、その様子を見たご家族の方からも喜びの声をいただきました。

自分の役割を持つと、日々に活気が生まれます。そのことを、お弁当配達の取り組む利用者さんの姿から私たち職員も学ばせてもらいました。
――挑戦する中で、工夫したことはありますか?
どうやったら本人さんがスムーズにお弁当配達に参加できるか考え、職員全員でアイデアを出し合いました。例えば、これまでは1名の職員で対応していたのですが、参加する利用者さんが増えることでドライバーを一人追加しなければならなくなったんです。その課題も、本人さんの希望を叶えるために、とみんなで調整して実施できる職員体制を整えました。ほかにも、配達先のカギの紛失防止についてお弁当を製造している「ブルースカイ」という事業と話し合って、安心できる確認体制を整えたり、利用者さんが「今日はお弁当配達の日だ!」ってすぐわかるようなスケジュールの提示を準備したり……、小さな工夫を積み重ねていく感じでした。
―-この取り組みを通じて、特に感じたことはなんですか?
本人さんとそのご家族から喜びの声が聞こえてきたとき、とても嬉しかったです。それだけじゃなくて、私たち支援者が利用者さん本人にしっかり向き合ったからこそ本人さんのやりたいことが見つけられて、実行に移せたからこそできたんだ、というところが大きいと思っています。なので、そうやって毎日向き合っていればいろいろな気づきが得られるんだ、というところも嬉しく感じました。
実施する前に、「もしお弁当のケースを落としたりしたらパニックにならないかな」、とか、いろいろと心配していたんです。でも実際に配達に行ってもらうと、意外と落ち着いて取り組まれていて。そういった「できる」への気づきも、今回の取り組みで得られた貴重なものだと思います。総じて、利用者さんと関わる中にはたくさんの気づきがあるんだな、というのが印象的でした。
――松葉さんから見て、「TERRACEやまびこ」ってどんな事業所だと思いますか?
利用者さんのことを第一に考えている事業所、だと思います。支援員全員で利用者さんに向き合って、「~したい!」を叶えたり、できることを広げたりできるよう、みんなで考えられる事業所だと思います。
職員同士の仲もすごく良くて、思いついたことをパっと話し合える雰囲気があると思います。
――これからまた挑戦したいことってありますか?
TERRACEやまびこの利用者さんは強度行動障害をお持ちの方が多かったりするので、まずはおだやかに毎日を過ごしていただくのが1番ですかね。新しいことにどんどんチャレンジ!といっても、環境が変わったりルーティンが崩れることで不安定になられるかたも多い事業所ですので。毎日を楽しく、リラックスして過ごしていただく中で、本人さんたちの新しい「好き」や「できる」をみつけて、そこからまたチャレンジできることをゆっくり見つけていければと思います。
――南高愛隣会に興味をもってくれた学生さんに一言、メッセージをお願いします。
私はもともと、福祉の分野とは違う大学に通っていました。なので、支援についての知識は全くなかったのですが、それでも今楽しく働けています。入職後の研修は手厚いですし、働きながら学んでどんどん成長できる環境です。今では、施設でのレクリエーションに関する資格をとって、できる仕事も広がってきたように感じます。周りの職員さんたちのあたたかさと、学びやすい制度で、きっと安心して働けると思います。
松葉さん、ありがとうございました。日々のささいなことから利用者さんの望みに気づき、取り組みの中で利用者さんの可能性に気づく。松葉さんをはじめとしたTERRACEやまびこ職員のあたたかいまなざしを感じるエピソードでした。
次回は「HOME東いさはや ~還暦を迎え夢への挑戦~」を特集します。お楽しみに!