職員紹介2021 / 02 / 02

人生で初めてみつけた “私が本当にやりたいこと” 。

角井 あかりさん 「育つ」を支える。

長崎県・島原市――島原城のすぐ近くにある南高愛隣会の「PARK さくら」では、午後の時間になると、子どもたちの元気な声であふれます。

「障がいのある方に、島原のまちの真ん中で生き生き活動をしてほしい」

そのような想いでつくられたこちらの拠点では、一階では障がいのある方たちの日中活動のサービスを、二階では障がいのある子どもたちが放課後や学校のお休みの日に通う放課後等デイサービスを提供しています。

利用者のお子さんたちも、外からのお客さんに興味深々。元気いっぱいの笑顔で迎えてくれます。伸び伸びと楽しそうに遊んでいるその姿に、思わず笑みがこぼれます。

そんな「デイサービスさくら」で、みらいサポーター(児童支援員)として働く角井 あかりさん。

まだ入社して一年目。分からないことだらけだけど、少しずつ慣れてきたと思います。本当に少しずつですけど…。

そう言って、控えめに微笑む角井さんですが、子どもたちとお互い楽しそうに笑顔でふれあっている様子からは、入社してからの数か月、子どもたちと丁寧に信頼関係を築いてこられたことが感じられます。

大げさかもしれませんけど、私の人生で初めて『やってみたい』と思えることに出会えたんです。

障がい児支援の仕事との出会いをそう振り返る角井さんに、障がい児支援というお仕事についてお話頂きました。

■人生で初めてみつけた“本当にやりたいこと”。

 

元々、周りの意見に流されやすいところがあって、大きな選択の時は誰かの意見の影響を強く受けていたなと思います。高校を選ぶ決めても先輩の誘いだったり、吹奏楽部を選んだのも友達に誘われたり…。

角井さんが元々目指していたのは、保育士。親戚の子どものお世話をしている時に、「保育士さんに向いているんじゃない?」と言われて嬉しく思い、「子どもにかかわる仕事をしたい」と、保育士の資格を取得できる大学に進学しました。

しかし、実習などで保育の現場に触れる中で、本当に「保育の仕事が自分にやりたいことなのかな?」と感じるようになりました。そんな想いを抱いていたころ、南高愛隣会が主催する障がいのある子どもたちとのサマーキャンプにボランティアで参加したことが、角井さんの大きな転機になりました。

キャンプでは職員の皆さんが、子どもたち一人ひとりに本当に親身になってじっくりかかわっているなと思えたんです。

子どもたちも「〇〇さん、〇〇さん」って職員の名前を呼びながら一緒にいて、本当に職員さんのことを信頼して、大好きなんだろうなって。

保育園での仕事もやりがいがあるとは思えたけど、「クラスを持ち、多くの子どもたちと関わる」というよりも、「一対一で子どもと向き合う」ということを私はやりたいんだと気がつきました。

どこか流されがちだった自分が、生まれて初めて「この仕事したい!」と強い想いを持つことができた。その体験がとても新鮮で嬉しかったと角井さんは振り返ります。

そうして、角井さんは障がいのある子どもたちの支援を仕事にすることを決心します。

■一人ひとりの成長に寄り添い、自分自身も成長する。

「この仕事をやりたい!」

そんな強い想いで障がい児支援の職場に飛び込んだ角井さんですが、入職当初はやはり慣れないことも多く、戸惑いの連続だったそうです。

学生ボランティアでかかわっていた頃は、ただ楽しくその時間を過ごせばよかったですけれども、職員として携わる今は、子どもたち一人ひとりの“これから”を考えて向き合う必要があります。

例えば、成長して大人になっていくに連れて、他者との人間関係を築いていかないといけません。その時に、支援員がただ優しく、甘えてもよい対象のままでは、適切な距離感が分からないままになってしまいます。

それぞれの成長に合わせ、ちょうどよい距離感で、時にはしっかりと注意をしたり…。いつも「これでよいのかな」と悩みながら向き合っています。

試行錯誤をしながら、子どもたちと向き合う日々。悩むことも多くあるそうですが、少しずつ「子どもたちと心を通わせられた」と思える場面も増えてきているそうです。

「声をかける」だけがコミュニケーションじゃないな、って最近は思います。人の表情や感情を読み取りづらい子もいるし、「これで伝わるかな」と思っていたことが、なかなかうまく伝わらないこともあります。

そんな時、少しでも子どもたちが見ている世界に近づきたいなって思って、相手の見ているもの、感じているものを想像するようにしています。

「声をかける」って、分かりやすいので、それだけで支援した気になっちゃうこともあるんですけど、「伝わったかな?」「安心してくれたかな?」ということも意識しながら、表情やしぐさも意識しながらかかわるようにしています。

声をかける。伝える。支援する――。

そこで終えてしまうのではなく、届けた相手の想いを想像する。

そんなことを大切にしていくことで、少しずつだけれども、子どもたちに安心してもらえた、心を開いてもらえた、そのように思える瞬間が増え、「この仕事やっててよかったな」と感じる機会が増えてきた、と話す角井さん。

日々悩みながらも、子どもたちの成長に全力で寄り添うことで、角井さん自身も一歩ずつプロとしての階段を登り、成長しているようです。

■「やりたい!」という気持ちを大切にしてほしい。

お話の最後に、これから新たな“道”を歩もうとしている皆さんに、角井さんからのメッセージをお願いしました。

「う~ん…。」と少し悩みながら、角井さんはこう語ってくれました。

一年弱この仕事を続けてきましたけれども、「この仕事が私に向いているのか?」というのは、確信が持てないというか、正直まだよく分からないんです。

でも、本気で「これが私のやりたいことだ!」と思ってチャレンジをしてみたら、向いているかどうかは分からないけど、「楽しい」と思えるシーンがたくさんあります。

だから、ちょっとでもやってみたいことがあったら、あまり考えすぎず「やりたい!」という気持ちを大切に、チャレンジしてみてほしいなと思います。

―これから先、角井さん自身はどんなキャリアを描いていきたいですか?

そんな問いかけに、角井さんは真っすぐとこう答えてくれました。

まだそれが何かは分からないですが…。支援者として、「これが私の強みです!」と自信を持って言える強みを見つけて、伸ばしていきたいです。

初めて見つけた「本気でやりたいこと」を、もっともっと突き詰めていくために、角井さんの挑戦は、これからも続いていきます。


※「育つ」を支える仕事

障がいのある子どもたちへ「人生は楽しい」と思える未来づくりを共に作ります。
様々な社会体験・就労体験、理学療法士・作業療法士による体を使ったサーキット活動を通し、一人一人の「できること」増やしていき、将来の選択肢を広げていく、夢・希望にあふれた仕事です。